Research.06
中国のインド太平洋における台頭:
東南アジアと南アジア、オセアニア地域のリンケージ

研究の「今」

インド太平洋は、新しい地域概念であるとともに、多くの地域や国を含む非常に広大な空間です。インド太平洋には、日本も属する北東アジア、東南アジア、オセアニア、南アジア、中東、東アフリカといった地域が存在し、非常に注目を集めています。

台頭する中国を抜きにして、インド太平洋について語ることはできないでしょう。私の研究では、中国とインド太平洋の関係に着目し、マクロな視点から、その両者のつながりについての研究を行っています。

研究の背景

近年、中国の海洋進出や「一帯一路」構想が国際的に注目されています。それとともに、インド太平洋という新しい地域概念が登場しました。従来の地域概念である東アジアやアジア太平洋といった地域を更に越えて、南アジアや中東、東アフリカも含む、極めて広大な地理的空間です。

中国でも、インド太平洋への関心が高まっています。一般的に、インド太平洋は中国語で「印太」と呼ばれています。中国では、2018年になり、「印太」のキーワードを含む学術論文や雑誌記事の数が急増しました。その理由は、日本や米国がインド太平洋を重視するようになり、中国もその動向により一層気を配るようになったからでしょう。

中国における「印太」をキーワードに含む論文・雑誌記事の数

研究の内容

中国とインド太平洋の関係に関して、様々な研究を行っています。例えば、インド太平洋において、東南アジアは大変重要な地域です。これまで日本では研究されていなかった中国とタイの関係について、論文を書きました。東南アジアの域内国であるタイは、米国の正式な同盟国ですが、近年は中国がタイとの関係を深めようと積極的になっています。その論文は、学術書の一章として2019年1月に刊行されました(山﨑周「冷戦後の中国の周辺外交におけるタイ: 米タイ関係への楔打ち」川名晋史編『共振する国際政治学と地域研究:基地・紛争・秩序』勁草書房、2019年)。

現在は、中国とオセアニア、中東、南アジアとの関係についての研究も進めています。その他にも、中国と朝鮮半島の関係が、日本のインド太平洋構想にどのような影響があるのかについて関心を持っています。また、今後はインド太平洋に属する国々に赴いて、実際に現地でどのようなことが起きているのかを見てみる予定です。

総合研究所 山﨑 周 助手